「先生・・・昨対比１００％を切っているのですが、どうしたらいいですか？」
売れない店長に悩みや課題を聞くと、
このような返答をする店長が多くいます。
「どうして１００％切ってしまったんですか？」
と聞くと、
「それがよくわからないんです。私たちなりにがんばっているのですが・・・」
と昨対比１００％を切ってしまった理由が明確になっていないので、
回答も曖昧になります。
この店長はある罠に陥っていました。
その罠とは？
思考力を奪う罠、
「未達成に慣れる症候群」です。
どの売れない店長も前任から引き継いだ時点では、希望を持っています。
「よしっ前の店長よりもがんばって売れる店作るぞ！」
と勢いがあります。
初めは、強い意欲のもと改善意識も高く、
うまくいかなければ「どうしたらうまくいくか？」という
アイデアを生み出そうとするモチベーションに溢れています。
しかし、そのアイデアが成果に役立たないと、
「何をやってもうまくいかないのでは」と自信を喪失します。
この店長にも
「引き継いだときと比べてモチベーションに差がありますか？
と聞きました。
「そうですね・・・最初に比べたら相当下がっています」
「引き継いだ当初は昨対比はどうでした？」
「えっと・・・１００％ギリギリ超えているところでした」
「それ以上に上げたいと意欲はありましたよね？」
「はい、でも・・・今はもう何してもうまくいかない気がして
自分達なりにがんばっているのですが・・・」
と、こんな話になりました。
半ば諦めに聞こえてこの話をオーナーが聞いたら
「ふざけるな！！」となりそうですよね。
でもね、多いですよ、こうなっている店長。
おそらくこのコラムをご覧になっている人もそうかもしれないし、
オーナーだとしたらこの思考に陥っている店長がいるかもしれない、
いや、います。
未達成に慣れてしまうとどうなるのか。
ますますモチベーションが下がり、
自己概念が低下します。
結果的に、店長としての自信がなくなります。
こんな姿を見た現場スタッフはどう思うでしょうか？
「店長辛そうだな・・・絶対にこの会社には就職したくない、バイトがちょうど良い」
となります。
就職したくないということは、
採用メリットを最大化することができません。
また、未達成に慣れると思考力が低下します。
何をしてもうまくいかない、と思い込む癖があるので
アイデアを創造することをしません。
結果的に店のオペレーションをこなすだけになり、
集客も固定客も増えずにジリ貧で売上が落ち続けます。
当然店長自身の自信喪失による離職リスクが高まるだけではなく、
現場スタッフも仕事を“こなす”だけの仕事に嫌気が
指して辞めてしまいます。
このように全体の離職リスクが一気に上がります。
まるで人材不足で閉店が相次いだあのチェーン店のようになります。
人は創造性を失うと仕事のモチベーションが無くなります。
もう一つ未達成に慣れるとどんな問題が生まれるのかを紹介しましょう。
それは、愚痴と言い訳・不満が噴出する、ということです。
はじめのうちは昨対比１００％を切ってしまうことに
危機感を覚えます。
しかし、９０％台をうろうろしてしまうと、
「あれっ今１００％切っているけど、９０％台でも
がんばっているほうじゃないか？」
と勘違いをするようになります。
一種の諦めから生まれる自己正当化です。
そして、こんなにがんばっているのに、昨対１００％を切るのは
私たちの責任ではないとなってしまうのです。
すると「本社が・・・」「価格が・・・」「品揃えが・・・」と
自分達を正当化し、会社に対する不満が噴出するのです。
このように未達成慣れしてしまうと、
売上が未達成で終わる、ということだけではなく、
他にも付随した副作用が多いです。
この店長も徐々にではありましたが、
思考パターンが売れない店長特有の思考に陥っていました。
ではどうしたらこの売れない思考から
抜け出すことができるのか？
この店長に私が施したことは
・成功体験へ導く
・不満を課題に変える
・創造性を取り戻す
・自己教育習慣の形成
そして、本社サイドにも協力してもらって
店長にスポットライトが当たるように
人事制度から社内キャンペーン・イベントを
仕掛けていきました。
今日は中でも成功体験に導く話を紹介します。
一番即効性があるからです。
店長にとっての成功体験は、いくつかの要素に分かれます。
・日商売上を目標達成した
・昨対比１００％を超えた
・スタッフに感謝された
・業務フローを改善した
このように、成果は、売上と組織面に分かれます。
前者は、いきなり大きな成果を作ることは
難しいので、まずは組織内での成功体験を
作れるように仕掛けていきました。
中でも後々大きな成果に繋がるのが業務フローの改善
（弊社ノウハウのためここでは秘密）です。
業務フローの改善ができると、
全スタッフに余裕が生まれます。
余裕は高い顧客満足度に繋がります。
実は、自分達でコントロールできる業務面に
力を入れるだけで、本来コントロールできない
売上面に好影響が生まれます。
バタバタした店で買うよりも、
じっくりと一人のお客様のために尽くしてくれる
店で商品は買いたいですよね。
忙しい店はいつまでも売れるようにならず、
余裕のある店はグングン売上を伸ばします
業務面を改善することで得られたバリューは
この店長は特に多かったです。
売上もとれず半ば諦めていたのですが、
業務フローを見直し、スタッフに余裕が生まれたことで
店内に笑顔や活気が生まれてきました。
すぐに成果に繋がったのは成約率が上がったことです。
接客に集中できる環境が増えたので、
全スタッフにモチベーションが生まれ始めました。
結果的に３ヶ月で昨対比１００％に戻り、
お客様のリピート率も向上しました。
今では数ヶ月前の店長の姿は考えられない程イキイキしています。
私はこの姿を見るたびに「この仕事をしていて良かった」と思います。
きっと店頭で働くスタッフもどん底と達成し伸びるお店の両極を
体験できて今ではお店が大好きと言ってくれています。
この体験がこれからの人生に大きく役立つでしょうね。
売れない店長が一度ハマるとなかなか抜け出せない思考の罠に
陥っていませんか？
ぜひこの記事を参考にして、ご自身のどこに問題があるか
考えてみてください。
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